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ジャズと酒

ジャズと酒。これらは切っても切れない関係にあり、『ジャズ』といえば『ワイングラス片手にタバコ』をイメージする方も多いだろう。もっとも最近の禁煙ブームでは『タバコ』のほうは敬遠されがちだが(禁煙3年目の私としてはこれはありがたい)、アルコールを出さないジャズライブハウスはこの世には存在しないことを考えると、これらはまさに『つがい(オスとメス)』であると言える。

たしかにお酒を飲みながらジャズを聞くのは心地よい。周知の事実だが、アルコールには高ぶった神経を和らげる作用があり、普段メインで活動している『理性』を押さえ『本能』を表面に出す効果もあり、これにより、感情に訴えてくる性質のものである『音楽』を『御託無しに』そのままダイレクトに大脳に届けてくれる。

しかし、『ジャズとお酒』が許されるのはあくまで『リスナー』のほうであって『プレイヤー』のほうではないことを分かっているジャズミュージシャンは、特に『アマチュア』では少ない。

かつての私がそうであったように演奏前に『ビールを飲んで』ステージに立つアマチュアジャズメンはかなり多い。これは単純に『アルコールが即興演奏を手助け』してくれるという『妄信』と、緊張で足が震えてステージに立っていられないため『景気付け』にアルコールを入れるといったものである。

経験上はっきり言えるのは、アルコールを飲んだ方が素面の時よりもいい演奏ができるミュージシャンはほんの僅か、国内ジャズメンの上位3%ほどであり、それらは往々にして『アルコール中毒者』の部類である。

もちろんこれには異論があるだろうと思う。緊張してガチガチの演奏をするならばアルコールでリラックスして演奏をした方がいいに決まってる。しかし楽器を演奏することが『筋肉の動き』であり、ジャズを演奏することが『リズムをキープ』することである以上は、アルコールにより神経伝達速度を鈍らせることが『プラス』に作用するとは考えにくい。あるジャズの教則本では『演奏前の食事は控えましょう、血糖値が上がってボーとしてしまうためです』と食事すら控えて万全な体制で演奏に挑め、ということが書かれているほどである。

そしてなにより肝心な事、この文章のテーマとなるべきことは、プレイヤーのお客に対する『姿勢』である。

アマチュアだろうがプロだろうがミュージックチャージをとって演奏している以上は『お金を払って頂いている』という『プロ意識』をもたなければならない。

あなたがジャズライブを聞きにきているお客だとしてステージのプレイヤーが演奏前からビールをあおって赤ら顔で演奏を始めて、いい気分がするだろうか。『まあジャズなんだから』と言うのは簡単だが、冷静に考えてみればこれは『緊張して上手くしゃべられない』『アルコールが入ったほうが饒舌になる』からといって『クライアントとの打ち合わせに酒を飲んで行く』ようなものである。

『アルコールに頼らなくてもよい』ようにまずは精神面・技術面を鍛えるのが真のミュージシャンではないだろうか。

なぜこんな事を書いたかというと、先日都内某所でのアマチュアジャズライブを聴きに行った時、まさに演奏前に『アルコールを入れた』プレイヤーがステージにいたためである。彼を見ていると本当に昔の自分を見るようだった。

 しかしあの頃『ぶっ飛べる』からといって一度だけ『バファリン2錠と酒』を試したことがある。『幽体離脱』したような顔で演奏していた当時の自分を、お客さんはどう見ていたのだろう。

注)マネしないで下さい。気持ち悪くなるだけです。