月別アーカイブ: 2010年1月

サックスをやるということについてのいくつかの考察

 セルマーのアルトサックスを持っていたことがある。
 10年前のことだけれど新大久保の中古楽器の店で、たしか19万をキャッシュで使った記憶がある。嫁と住宅ローンを抱える今となってみれば、考えるだけで恐ろしい金の使い方だなと思う。
 当時ジャズギターに明け暮れていたが、ギターは伴奏もやらなくてはならない。実は私はこれが大の苦手で、管楽器奏者を見るといつも、管は楽でいいよな、吹くだけ吹きまくってサヨナラだよ、とひそかにアンプの横から管へ羨望のまなざしを向けていた。
 それが原因ではないが、渡辺貞夫さんのアルバムを聴いたことで自分も管楽器をと思うようになった。移り気の多いやつだなと周りに悟られたくない私は『俺の口はもともと管用にできている』と下唇をぶるぶると震わせてみたりしてモチベーションを高め購入に踏み切った。
 そして購入したのがセルマー。初心者にはもったいないくらいの良い楽器だ。しかし楽器は初心者であればあるほど良いものを購入したほうがいい。下手な安物より上達が早くなる。
 信じられない話だがそれまでサックスにリードがあることを知らなかった。リードを震わせることで音がでる。それが簡単にいかない。つまり音が出ない。ボーとすら出ない。スースー息の抜ける音が聞こえるだけだ。ハアハア息を切らしながら練習したのを覚えている。
 練習場所はもっぱらカラオケ。たまに公園に行って練習していると決まって誰かが同じようにサックスの練習を始める。しかもやけに上手い。そういうストレスを抱えながらもロングトーンに明け暮れていた。管楽器の宿敵はその練習場所の確保で、これが非常に難しい。深夜に酔っ払って帰ってきてしこたま便器に吐く隣人の喘ぎ声で目が覚めるぐらい壁の薄いボロアパートで練習なんてできっこないし、寒い冬の公園でロングトーンの練習も精神的にきつい。
 結局このサックスはその後半年して手放すことになる。生活に困窮したため、というのは表向きで実のところ吹くことに疲れてしまったというのが本音である。管楽器は甘くなかった。それ以来管楽器とは無縁である。
 実は最近、サックスをもう一度、と思うようになった。理由なんてない。ただ吹きたい。ブオオオーと。Body and soul、Autumn in Newyork、そんな名曲をアウトフレーズで埋めたい。けれどもこんなストレスの塊みたいな音、だれも聞きたくないだろうなとしばし考えて今日もワイングラスを傾ける。
 

スピーカーケーブルについて

 オーディオを新調しようということになった。
 2年前に10年以上連れ添ったDENONのプリメインアンプPMA-7.5Eが故障し、それ以来嫁さん持参のケンウッドSJ-HD7MD(ただのコンポ)と先のプリメインアンプと一緒に購入したスピーカーSC-E252でがんばってきた。このスピーカーは文字通り私の生き字引だ。
 とは言えもう数年も前からCDを聞くことがなくなった。例のiTunesのためだ。ジャズはもっぱらこいつで流しっぱなしが癖になってしまっている。
 最近ふとした気まぐれでマイルスのCDを買った。愛聴しているJazzラジオで流れていたためだ。タイトルはFour &More、例のコールマン、トニーにハンコックで名盤とされるうちの1つ。構成、内容ともにまったく申し分ない。(恥ずかしながらまともにマイルスを聞いたのはBlue in Green以来)
 とにかくリビングに置いてあるケンウッドとデノンのスピーカーで(まるで不倫のようだが)マイルスを聞いていた。ハンコックのピアノがカッコいい、コールマンも無駄な音1つ出さずに曲全体を盛り上げている。何より全体の緊張感(これはマイルスのなせる業だが)がたまらない。しかしどうも胸に刺さらない。原因はやはり音だ。パアッとした高音域がモノラルに聞こえる。今までmp3で聞いて満足していた人間が偉そうに音質を語るべきではないがとにかく物足りない。
 オーディオ新調、まずこれを考えた。調べる、サイトをくまなく調べるとあるフレーズが目につく
 メーター900円のケーブルで繋ぐと。。。 メーター400円のケーブルでも見違えるようです。。。。などなど
 生まれてこの方アンプとスピーカーを繋ぐケーブルを良いものに買えるという発想が全くなかった私にとってこれは未知なる領域だったが、考えてみればアンプで集められた音をスピーカにロス無く伝えるケーブルは非常に重要なものだ。中東のオイルパイプラインのようにまさに生命線といっても良いかもしれない。ちなみに現状のケーブルはもう10年を過ぎ、錆が黒光りしていた。
 早速電気屋へ足を運んだ。売り場に来てみるとあるある、たくさんのケーブルがぶら下がっていた。何度もこの前を通っていたにも関わらずなぜ今まで気がつかなかったのか。人間というものは不思議である。
 色々な種類がある。高いものではメーター1万円。すごい。こんなものにお金をかけられるようになりたいものである。悩んだ末メーター400円、標準4mで1700円程度を購入することに決めた。これで音が良くなるならオーディオを買うより安い。
 急ぎ足で家にもどり取り付ける。マイルスをかける。ソファーに座って嫁さんと聴く。
 率直に言えば、全く別物だった。まるでオーディオを新調したかのように綺麗で奥行きのある音がそこにはあふれていた。ライブ独特の緊張感と空気感、それらが一体となって部屋を埋めた。管楽器の命である倍音もしかり。
 もしもオーディオに不満がある方はまずケーブルを変えてみることをおススメする。

audio-technica GOLDLINK Fine スピーカーケーブル3.0m AT567S/3.0

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  • 出版社/メーカー: オーディオテクニカ
  • メディア: エレクトロニクス
Four & More

Four & More

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony/BMG Japan
  • 発売日: 2005/03/15
  • メディア: CD