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Appleロスレスは素晴らしい

一般家庭でも気軽にCDを楽しめるようになったのは私が中学生の頃である。
それまでのカセットテープに比べて音質がどうとか、省スペースで保存できるとか(CDケースはカセットテープの半分の厚さ)、そういった難しいことは中坊の私には興味はなく、ひたすら見栄と自慢のため親にCDコンポをおねだりし、さらに修学旅行で移動中に自慢できるからといってポータブルCDプレーヤを買ってもらったりした記憶がある。ちなみにCDウォークマンはいまだファンがいて、メーカーが販売している。

今になって思うと大変贅沢な音質で音楽を聴いていたことになる。なんてったってCDは1411kbps、最近当たり前になっているmp3、AACなどは128kbps〜330kbps(kbps:音の情報量)である。我々は利便性を優先した結果、最大で90%を超える『音の損失』を許容していることになる。

iTuneの読み込み設定にApple Losslessがあるが、実は一度も使った事が無い。
Appleロスレスは『音質をロスせずに圧縮されたファイル』ということで、音質はCDと同等であると詠っている。
それでは、通常の圧縮に比べどれだけ音質が向上するのかというと、試しにMiles Davisのアルバム『Kind of Blue』よりBlue in Greenで比較してみる。このアルバムは元々録音がよく、さらにシンプルな楽器編成、マイルスのトランペット、コルトレーンのテナーの伸びやかな音質を存分に楽しむ事が出来る名盤。そして何よりも私自身が良く聴いているアルバムなので比較するには最適であると考えた。

機器はiPod touch 5th。ヘッドフォンも付属のもの。

まずはAAC(128kbps)。これは誰の耳にも明らかだろう。圧倒的な差でAppleロスレスに軍配が上がる。しかしそもそも128kbpsではジャズなんて聴く気にもなれない。128kbpsが好きなら『きゃりーぱみゅぱみゅ』でも聴いてたらよろしい。

次にAAC(330kbps)。これでも十分音質は良い。おそらく多くの人はそう感じるだろう。しかし、やはりこれも良く聴く曲だからこそ分かったのだろうが、少なくとも私には違いが感じられた。目隠ししても結果は同じだった。Appleロスレスのほうが楽器の臨場感、倍音の響き、ロングトーンの伸び、要するに『質』が異なる気がした。通勤電車の中で改めて聴き直してみる。コルトレーンのメラリンコリックなテナーの響きに思わずニヤけてしまった。京浜東北線の車内、まるで3席先のシルバーシートにコルトレーンが座って吹いている、そんな臨場感があった。

そんなわけで色々なアルバムをAppleロスレスで再読み込みしてみる。人間とは不思議なもので、良いものを知るとそれまで使っていたものが惨めに思えてくる。全く。ハマると抜け出せない性格なので冷静に、できるものからボチボチ再読み込みしていこう。しかしAppleロスレスにも問題点がある。最大の問題点はファイルのサイズが恐ろしく大きいことだ。

先のBlue in GreenのAAC(330kbps)ではファイルサイズはおよそ15MB程度、Appleロスレスでは30MBと、およそ2倍である。まあ要するに現在iPodに入っている楽曲すべてをAppleロスレスにするには今の倍の用量を持つiPodが必要になるという計算だ。新しいiPod買うなんてことは馬鹿げているので、好きな曲のみAppleロスレスで読み込むことにした。しかし本音のところ、iPod Classicでも買って良質な音楽を思う存分楽しみたい。