元旦の奇跡

妻の猫が私と同居4年目にしてはじめて膝の上に乗ってきた。元旦の夜にだ。
そのとき私はソファにもたれてレンタルしてきた映画『クリスマスキャロル』を観ている途中だった。大切なものを見失った強欲なじいさんが精霊たちに脅かされ慈善家に変わるという、ディケンズの名著のディズニー版だ。とにかく話がクライマックスに差し掛かった時、ニャンという鳴き声とともに猫がいつもならそこに座るはずの妻の膝を通り越して私の膝の上に乗った。
ばかばかしいが、一瞬私は数時間後に死ぬのかな、と思った。昔観たニュースで人の死を知る猫、というのがあったからだ。オスカーは病院で飼われている猫で、死期の近い患者の傍に寄り添うという。
『ああ、俺はこのソファーの上でくたばっちまうんだ、短い人生だったなぁ』なんていうことをしこたま酔っぱらった頭で考えながら、死ぬ前にションベンしなきゃなと、時折猫の足が膀胱を踏みつけるのを我慢しながら映画をみた。今このブログを書いていることが生きている証だが、猫がようやく心を開いてくれたかと思うとうれしい正月休みだった。

元旦の奇跡」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 猫と本とスタートレック | How To Play Jazz Piano

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です