ピアノ初心者の方へ

ピアノが全く弾けない、またはずいぶん昔に少しだけ習っていたけど今は全然弾けない、弾ける気がしないという方でも、せっかくジャズピアノに出会えたのですから是非練習して趣味として楽しめるレベルを目指しましょう。以下自己の経験に基づきアドバイスのようなものをお伝えしたいと思います。

30代でピアノを始める

私は19歳でジャズと出会い、その魅力に取り憑かれました。その頃大学のサークルでロックギターを弾いていたので、そのままジャズギターを学ぶようになりました。その後就職してからも演奏活動は続けていたのですが、音楽の道を捨て切れず退職し派遣業をしながら夢を追い続けました。しかしそのような生活にもやがて限界が訪れました。30歳前に再び正職につき、それを機にYamaha P-80を購入して、憧れだったピアノを始めました。

小学生の頃に少しだけピアノを習っていたのでなんとかなるだろうと軽い気持ちで始めたのですが、数十年ぶりに鍵盤を触るとほとんど全く指が動きませんでした。それでまず指のトレーニングを徹底的にしようと決心しました。

もう既に会社に勤務していたので練習時間が限られています。そこでまず朝5時から2時間、帰宅して2時間、週末は8時間程度毎日ハノンを弾いて練習しました。

3ヶ月くらい経った頃に指が軽くなった気がしました。以前よりも指が動く、という感覚を得たので、そこからコードやアドリブなどの練習も始め、気がつけば10年以上経って今に至るという感じです。

技術について

”ピアニストの脳を科学する”という書籍によれば、指の神経の発達には生物学的なリミットがあるようで、残念ながら大人になってピアノを始めて、幼少期からかなりの訓練を受けている方々と同等の演奏レベルなることは難しいと考えられています。個人的な経験上、これは事実だと認識しています。同時に、スタートが遅れた分、仕方のないことだと納得しています。ただ、特にクラシック以外の音楽ジャンルについては技術が優れていることと演奏が素晴らしいことは必ずしも一致しない、と考えています。これまでプロやアマチュアの演奏を沢山観てきましたが、たとえ稚拙な演奏であってもリスナーの心を捉えることは十分に可能だと確信しています。そしてその演奏で60億人中、たった1人でも誰かの心を満たすことができるのならば、演奏する価値や意味があると思っています。

継続は力

ピアノ技術の到達レベルはその人の音楽的な素養、ピアノを含めた他の楽器の経験の有無、知識やモチベーションの高さによって大きな幅があるため、とにかく続けてみるしか答えを見つける方法はありません。要するに自分がどの程度弾けるようになるのかは、限界が分かるまで努力を続けるしかないということです。逆に言えば、努力を止めてしまった時が自分の限界ということになります。

レッスンや書籍

初心者であればあるほどピアノの基本的な技術指導を受けることは大変効果的です。最近では大人のためのピアノ教室が沢山あります。期間限定で、例えば1年間だけでも通ってみることをお勧めします。それが難しい方は大人のためのピアノレッスンなども参考にして基本的な技術を身につけましょう。それが終わればあとは独学でも問題ないと思います。

参考までに私が初期に使ってた教材はハノンバーナム、それからジャズ用にブルースを始めたいピアニストのためのやさしいブルース・ピアノです。ハノンで指を鍛えて、ジャズピアノの基本であるブルースを学びました。参考にして下さい。

さあ始めましょう

楽器の中でもピアノは最も習得が難しいとされていますが、経験上ギターでもサックスでも簡単にマスターできる楽器は皆無で、習得には必ず一定の時間が必要です。今から新しい楽器を始めようという方はとにかく早く始めたほうがよいと思います。

技術がなくても音楽的表現は可能ということを動画で解説しています。参考にして下さい。